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幸せとは? [絵画作品紹介]

宇宙科学研究所のそばに立っている一本杉の横に、華麗な満月が現れていた。よく晴れて暖かかった春の日でも、夜となればまだ寒気につつまれる。あいかわらず橋の再建設工事は続いており、夜でも工事中をしらせる赤や黄色のランプが点滅している。風もなく、音という音がすべて消滅した、静かな夜だ。

今夜はサトくんの7歳の誕生日が祝われた。夕食後、昼間マコさんとタツオ君が、サトくんの名前の書かれたプレートののった、大きな丸いチョコレートケーキを買ってきておいたのを、みんなで食べた。7本の色とりどりのロウソクがともされ、照明が落とされた中、子供の小さな胸から吐き出された一息で、それらが消された。一瞬暗闇となり、またもとの明るい部屋となった。子どもたちはその体に、あらん限りのパッションをみなぎらせてはしゃいだ。地球に来て毎回のこと、このような場面をみるのは、僕にとっても最も嬉しい瞬間だ。

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▲ぼくの家族

幸せはどこからもやって来ない。幸せはいまそこにあるのだ。地球にあっても、宇宙にあってもそれは同じことだ。そして望むことなく、今を生きることで、あなたが見ている世界は変容してゆく。他には何も必要ない。幸せはそこに一瞬一瞬生まれる、新たなるものなのだ。あなたは決して、思い描いた幸せを手に入れることはない。なぜなら、思い描かれたものはすでに、過去のものだからである。過去とは記憶であって、どんなにそれが心地よい記憶であっても、そこへ行こうとすること自体が束縛を生む。束縛は自由、すなわち幸せの反対物だ。幸せになろうとするその行為や思いがすなわち、幸せを遠ざける。

この山里では、深夜に活動する人とておらず、静寂だけがそこにある。夜とよばれる巨大な影の中で、それはしだいに深さを増していった。

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エリザベート

>思い描かれたものはすでに、過去のものだからである
 ・・・重いですね。
by エリザベート (2009-05-04 11:50) 

peach

★エリザベートさん、ありがとうございます。
そうですね。そして過去から自由になったとき、つまり思いがなくなったとき、はじめて新たなるものがそこにあると、僕は考えるのです。
by peach (2009-05-06 11:47) 

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