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春の集い [音楽]

ここのところ、天気はぐずついたが、今日はカラリと晴れて、心地よく過ごしやすい日となった。タツオ君はお母さんの七回忌を主催した。菩提寺はタツオ君の家のすぐ裏手のほうの、ゆるやかな坂をのぼったところにある。先代の住職が存命中だった子どものころから、本堂で遊んだりして、慣れ親しんだお寺を借りての法要だ。若くして両親を亡くし、施主を繰り返したタツオ君は、こうした仏事の段取りは手慣れたものだったが、それだけに今日の法要と供養の流れを丁寧に扱い、感慨深げに成り行きを見つめていたようだった。お寺の庭先にタンポポが絨毯のように咲き乱れている場所があり、僕はそこに寝そべって、般若心経が詠まれるのを聞いた。一定のリズムの中に、短い言葉で簡潔に、宇宙の秘密が解き明かされてゆくのを聞いていると、ロザリオとふたりで、広大な故郷の大地に立っているような気がした。正午前の陽の光に照らされた草花の発する、青い香りをかいで、僕は少し眠った。


タツオ君のお母さんのご冥福を、心よりお祈りいたします。

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