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暗黒の二年間 4 [音楽]

「宇宙科学研究所」のドアをあけると、例によってタツオ君が煙草を吹かしながら、回転式の肘掛椅子の上にしゃがみこみ、「眺め半分」といった様相でカラフルな自作に見入っていた。



「煙いよ」入るなり僕は言った。
タツオ君は何も言わず、見向きもしない。どうなのか、今話すべきなのか?
僕が躊躇していると、タツオ君は煙草をもみ消してから、こちらを振り返って言った。
「さっきまでここで居眠りしてたんだが、変な夢見ちゃったよ。ロザリオのやつがさ…」
僕ははっと身構え、タツオ君の話を遮るように言った。
「刀を持っていたか?」
タツオ君はきょとんとして言った。「見たのか?同じ内容の夢を?」
「ああ」僕は深く頷いた。「どうやらロザリオの警告らしいな」
「警告だ?どんな?」
「実はひと月ちかくも前から黙っていたことがあるんだ───」
そう言って僕はロザリオからの日本の大震災の予知と、津波の大災害が避けられない運命にあることを伝えた。タツオ君は、スマトラ島沖地震のときと異なり、今度は自分の国でそれが起こるという内容にいささか驚きはしたが、
「それで、それとロザリオのチャンバラごっこと何の関係があるんだ?」とすぐに聞き返してきた。
「話が長くなるけどいいか?今日は確か君も休みだったよな?」
そう一応確認するような前置きをして、僕は話し始めた。

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