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僕たちの仕事 [音楽]

雪が降り、風が吹く。雨となり、陽が照る。
この地方の春の天気は、目まぐるしいほどに変わってゆく…

僕がタツオ君の家にステイするために地球へやってきた日、着陸した宇宙船を最初に発見したのはこの家の娘のサキちゃんだった。その経緯はこのブログの冒頭で語ったかと思う。今日はその日のことをもう少し詳しく書こうと思う。

あの日、タツオ君は僕の到着を知っていたかのように、何の抵抗もなく宇宙船から出てきた僕を迎え入れてくれた。驚きをかくせない子どもたちや、奥さんのマコさんをひとまず外させ、僕を彼のアトリエである、「宇宙科学研究所」へつれて行った。

「何度も僕にコンタクトしてきたのは君か。」
作業机の前の椅子に腰かけると、そうタツオ君が聞いてきた。
「そうだよ。そしてはじめに僕を呼んだのは君のほうだ。」
そのことをタツオ君自身知っているのを分かっていながら、社交辞令のように僕は返した。
「…で?地球で何をするつもり?」
「地球を次の次元に上昇させる。」
「何のために?」
「何のためでもない。その時期が来たというだけのことだ。しいて言えばそれが宇宙全体の利益になる。地球人のくりかえしている今の茶番劇は、そろそろ終わらないといけない。さもなくば崩壊だ。アカシックレコードではすでに地球人類は滅亡している。」
「アカシックレコード、宇宙の現在・過去・未来のすべてが記述されている本ってとこか。」
「そうだ。君も無意識だが時々そこから情報を得ているはずだ。そして僕たちはアカシックレコードが書き換えられるところを何度も見てきた。」
「君ひとりでレコードを書き換えるほどの偉業を成し遂げようというのか?」
「一人ではない。地球にはすでに僕たちの仲間が何千人も来ている。世界中でこのような個人レベルからはじめて、やがて地球意識を大きく変革してゆくための、いわば種をまいているんだ。この家を僕の仕事の拠点にさせてほしい。」
「うちに住むのはかまわない。君はどこからみても猫にしか見えないし。」
そう言って、タツオ君はタバコに火をつけて、足を組んだ。そして、ため息をつくように煙を吐き出しながら言った。
「しかし、こんな片田舎じゃなくて、東京か、でなけりゃニューヨークのTV局でも占領したほうがはやくないか?」
またも、タツオ君が冗談を言っているのを、わかっていながら僕は答えた。
「そんなことをしたら世界中から軍隊が押し寄せてきてしまうだろうな。そんなことは出来ないから、こうして頼んでいる。ここから地球のいろんなところへ出張することもあるし、君自身に対して特別の処置を行うこともある。だがひとまず、このアトリエの隅でインターネットを利用させてくれないか?」
「いいとも。情報収集か?」
「いや、ブログを書くんだ。」
「地味だなあ!」
そう、タツオ君は爆笑しながら言った。
「まあいいや。宇宙人と暮らすのもわるくない。好きにしていい。さあ、まずは家のかみさんの手料理でも食って、長旅の疲れを癒してくれ。母屋へ戻ろう。」

こうして僕はタツオ君の家にやっかいになることになった。タツオ君は僕がブログを書くと言ったことに大笑いしていたけれど、このブログがどんなものなのか、このとき説明はしなかった。



このブログの特殊性については、またの機会に皆さんにもお話したいと思います。

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