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暗黒の二年間 5 [音楽]

「マコさんには伏せておくつもりなんだ。もちろん子どもたちにも」
そう僕は切り出した。
「やっぱり余程深刻な内容らしいな」
「いや…その…、これからすることによって君がいなくなるわけじゃないし…」
「何なんだ?単刀直入に話せないのか」
「説明が必要なんだよ。まずは黙って聞いてくれないか!」
僕は少し息をあらくして怒鳴ってしまった。そして一度深呼吸をしてから話を続けた。



「2012年が何の歳だか知っているだろうか?」
「知ってる。大津波で世界が滅ぶんだろ?それで限られた人たちだけが船に逃げ込む。まさか今度起こるっていう大津波で滅んじゃうってのか?船に乗っとけとでも?」
「映画の話じゃなくてさ。実際には何の歳か知っているかと言うのだ」
「2012年ねえ…、マヤ人のカレンダーがそこで終わってるからどうのっていうのは、聞いたことあるけど?」
「うん。それなんだ。もちろん実際には映画「2012」のようなことは起こらない。しかしそこが決定的なターニングポイントになることを、マヤ人は知っていたんだ。」
「どんな?」
「僕がいままで君に話して聞かせたり、ブログ中で書いたりしてきたことを覚えているか?」
「ああ、だいたいな。大筋としては世界がガラッと変わって平和が訪れる。その前にいろいろやっかいなことが沢山起こる、ってところだろう?」
「そう。それは合っている。しかしそれは直接自然災害などを指しているのではない。だって今までだって自然災害はたくさんあったんだから。しかも昔は避難設備や体制が整っていなかったから、むしろ現在における災害よりかももっと酷かったかも知れない。」
タツオ君は少しうつむき加減の、上目づかいで僕の目を見据えながら、だまってゆっくりと頷きながら聞いている。
「結局自然災害は我々が食い止められるような、安い代物ではないんだ。しかもそれが起こるのは、地球の意志、ひいては宇宙の意志ということになってくる。我々は意志を尊重する生き物だ。大地の意志も決して例外ではない」
「偉そうに言うけどさ、結局実力がないから出来ないってことでしょ?」
「………出来ない。しかし自然界に対する働きかけや共存について何かを知らせることはできる。これは漸進的やり方だ。だが加速することが出来るとしたら?」
「それは………?」

今日も東の空からまぶしい太陽が照りつけ出した。母屋の方ではサキちゃんやサトくんが、マコさんに急かされながら朝食を取り始めている。

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