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暗黒の二年間 7 [音楽]

マコさんに怒られた時にいつも感じる、妙な恥ずかしさをぬぐい去るべく、僕はあからさまな咳払いをしてから会話を再開させた。



「まあ、ともかく猫の形態が都合が良かったこと、人間の形にはなれなかった、ということだな。およそヒューマノイドたちというのは、僕たちとは比べようもないくらいの偉大な仕事をしている存在が多いのだ。それは彼らが素性を伏せながら地球人として生活し、地球人として世界に影響を及ぼすことが出来るからだ。しかも能力は地球人のそれをはるかに上回っている。その影響たるや絶大なものだ。科学的発明や生物学的発見、新しい理論の構築などがそれだが、彼らは自らのコモンセンスのレベルでもって、鼻歌交じりにそれを行っているに過ぎないのだからね」
「お前だって東大の博士かなんかのところで飼ってもらったほうが良かったんじゃないのか?『ハカセ、ハカセ、スゴイアイデアヲオモイツキマシタヨ、コレデノーベルショウハマチガイナシデス』なんて言っちゃてな」
僕は首を横に振った。
「そう来ると思ったよ。だが僕らが一旦この重たい肉体を脱ぎ棄ててしまうと、どういう状態になるかは知っているだろう。君もロザリオに会っているんだから。」
タツオ君は頷いた。
「エイリアンそれぞれに役割が違うんだよ、タツオ君。人間の精神の深い部分、深層意識と言い変えてもいいが───それに革命を起こせるのは僕らのような、高次元存在だけなんだ。そして…」

僕は少し言葉に詰まった。ついにあの事に言及するときが来たからだ。




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コメント 4

haku

次回は、ついにあの事ですかぁ!
先々の展開が凄いんですね、 興味津津です♪
あ、ドゥービー好きですよ! ^ー^b
by haku (2011-07-16 07:29) 

peach

★hakuさん今日もありがとうございます。
今朝やっと最終章である、第三部およびエピローグの草稿の
殴り書きを終えたところです。まだまだ具体的な展開はヒミツですが、
最終的にはSFでありながらミステリ、でも純愛小説だったの?
という、涙なしには読めないところも出てくるような、展開になってゆきます。
今朝も自分で草稿を書きながら号泣してしまいました。
どうも長編化しそうです。どうか大団円を迎えるその日まで、
末永くお付き合い頂ければ幸いです。
by peach (2011-07-16 10:38) 

peach

★non_0101さん、nice!を一度に7つもプレゼントしていただいて
どうもありがとうございます。つまりnon_0101さんも、
回想編、『暗黒の二年間』を全部読んで下さってるんですね。
映画論評をなさっている方に読んで頂けるなんて、
peachはなんだか感激です。
僕は映画大好きなので、non_0101さんのブログから
いろいろ勉強したいと思っています。またうかがいますので
ひとつよろしくお願いします。
by peach (2011-07-16 11:58) 

peach

★ちょいのりさんもnice!たくさん…。
ホントにありがとうございます。
今月中に別件ですがある出版社の社長さんと
お会いすることになっているので、
ぜひ当ブログを見てもらうつもりでいます。

これからも宜しくお願いします。
by peach (2011-07-17 10:15) 

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