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暗黒の二年間 58 [音楽]

いざ会社を辞めるとなると、引き継ぎも楽ではなかった。特にタツオ君のやっていた仕事はだれがやっても難しく感じる仕事なのだった。それでも後任にベテランをつけてもらい、何とか引き継ぎは終えた。そして重荷をおろしたタツオ君の心中には今までになかった開放感が訪れた。


John Lennon - Mind Games 投稿者 bebepanda

「これで旅に出られるな」ロザリオが言った。
「やはりここではまずいわけだな?」タツオ君は研究所の床を指さした。
「大いにまずかろう?死ぬわけだから」
「死ぬと言うな。ところでどこに旅に出るんだ?」
「地球人のいないところだ」
「まさか…?」
「故郷まで行くなんてことはないさ、母艦を呼んであるのだ」
「母艦!二年近く前に東京の真上に来ていたという、あの…」
タツオ君はにわかに興奮した。
「そう。そこまでは私の小型機で行く」
「そうだ、その小型機とやらはどこに置いたんだ?」
「そこだ」
そう言ってロザリオは研究所の窓の外を指さした。それは今は何も栽培しておらず、刈った植木の枝などが無造作に積まれたこの家の畑の跡だった。
「君たちが不精で助かったよ。あの処分されないたくさんの木の枝でカムフラージュしてあるのだ」
「全く気付かなかった」
「だからあそこにしたのさ」

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