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雨音と時間 [絵画作品紹介]

また今年も梅雨と呼ばれる季節となった。
晴れ間が本当に少ない毎日が続いている。田んぼの多いこの山里では、蛙だけが元気で、あちらこちらで思い思いに、ばらばらな合唱をしていた。

休日のタツオ君は午後まで家で眠ったり、起きたりしていた。無理もない。仕事やら何やら、忙しすぎて、疲れ切っていたようだ。先日の日曜も、ボランティアで地区の家々の床下消毒をして丸一日走り回り、くたくたになっていた。今日ぐらいはただぼんやりとして、雨音を聞きながら過ごしても良いのではないだろうか。

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▲雨音


夜、雨はやんでいるが、空は雲で覆われている。さっきまで騒ぎまわっていたサキちゃんとサトくんも、もう眠くなったのか、おとなしくテレビを見ている。思えば初めて会ったときの二人は本当に小さかった。今ではサキちゃんなどもう大人だ。急に背が伸びて、マコさんに追いつきそうだ。靴のサイズなどマコさんよりも大きいのだそうだ。そしてタツオ君とマコさんは少し歳をとった。これが地球次元で言うところの、「時間」というものなのだ。時間の幻想は通常の地球人には、容易には打ち破れない。しかしタツオ君は、窓を開いた人だ。開いた窓から時間の外側を眺めている。あとはそこから出てゆくだけで、プラスワンの視点が加わる。そこからは時間軸のあらゆる瞬間が一望できる。その視点をもったとき人は人であることを超えるだろう。

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初夏の夜に [絵画作品紹介]

山里では、あちらこちらの田に水が入り、蛙たちがにぎやかに鳴き始めた。玄関先に出ると花の終わった藤が、幽霊のようにしなだれて、外灯に照らされていた。最終電車の過ぎゆく音が、踏切の音とともに聞こえてきた。空を見上げると、アンタレスが泣きはらした目をしばたかせて、こちらを見ていた。

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▲無題

僕がロザリオと話し合った、「今後の展開」という事態に、もうすでに世界は突入している。それでもまだ、この特異な状態の意味を理解できていない人も沢山いる。地球人にとって辛辣なトラウマとならぬよう、だいぶコントロールされながら、さまざまな事件が起こりつつあるが、今この時を機に目覚めるか、眠り続けるかは各人の自由にまかされている。

タツオ君は静かに胸の痛みを噛みしめ、それを浄化している。こんなに近くにいながら、僕はそれを見つめることしかできない。宇宙人はヒーローではない。ましてや神であるはずもない…。ただ、この時をタツオ君とともにいることが、僕に与えられた任務なのだ。タツオ君は実に美しい地球人だ。押しつぶされそうな辛苦にさいなまれながら、それが一切顔に刻まれず、まるで何の汚れも知らない天使のような顔をしていて、まさしく年齢は不詳という感じだ。僕は宇宙人として、進化へのメッセージを告げるために働いているという一面を持つが、むしろこの目の前にいる地球人は、僕が仕えるべき人なのではないかと、時々思う。実際に彼に会った人は、気持ちがとてもやすらぐという体験をしているが、彼自身はそのことには無頓着だ…。こういった天性のヒーラーが、地球の次なる次元への鍵なのだ…。

タツオ君に、ブログを読んでいる皆さんへ何かメッセージをくれと言ってみたが、今のところないそうである。まあ、無理に聞いても平凡なことを言うだけだろう。どんなに神々しく見えることがあっても、タツオ君はいつものタツオ君なのだから…。

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彼らがやってきた日 [絵画作品紹介]

今日はよく晴れた日であったが、昼ごろから風が強くなり始め、気温は次第に下がっていった。そして星の美しい夜となり、まるで秋のような、ものさびしい気配が山里を包んでいた。

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▲彼らがやってきた日

僕はタツオ君の家に滞在し、一緒に暮らしているが、タツオ君が外出しているときでも、彼の眼で見聞きしたこと、感じたことをモニタリングし、僕も同時に体験している。するとずいぶんと苦労していることが伝わってくる…。何と言えばいいのだろう、地球的にいえば、彼は損な役回りばかり引き受けている、かわいそうな人。理不尽な試練が多すぎるのだ。しかし、結果的にその仕事は、平均的な地球人のなし得ない、本質的な変革を引き起こす引き金となっているため、僕らの目から見ると最重要人物。神の目から見れば、最愛のわが子…。

タツオ君自身はどう感じているのだろう?心を読んでみよう。

「心が、胸が痛い…。神様、もう開放してくれてもいいんじゃないですか?僕は疲れました…。いつでもこの命を持っていってください…、今すぐにでも…。でも、この苦しみそのものが、あなたのプレゼントなのだとしたら…。OK、分かっちゃいるんです。痛みは痛みとして受け止めます。激痛すぎますけど…。もともと…、覚えてますよ…、僕が何故地球に生まれてきたかってこと…、そう、あの日、自分で決めました…、遊びに来たわけじゃない…。僕はちゃんとあなたの仕事をやれていますかね?あの人のように、僕にも成就できますかね?…ああ、まただ…。痛みが喜びに変わっていってしまう…。涙が出てきました…。うれし涙です…。これでまた明日も300%のパワーで生きろって言うんですよね…。神様、あなた何て残酷なんだ、いつも耐えられるぎりぎりのところまでしか僕を追い詰めないなんて…。どうしてですか…?自分で僕を崖っぷちに追い込んでおいて、いつも転落する寸前で助けるなんて…。本当にひどい人だ!」

と、まあこんな感じだ。実際には「…」の部分で神がタツオ君にコメントを返しているのだが、それは第三者である僕が傍受することを許されていない領域だ。

このブログでタツオ君の生の声を紹介することは少なかったと思うが、彼の過去の絵画作品の紹介とからめて、今後は載せても良いかと考えている。タツオ君の絵を見ることで、強い印象というか、作品によってはショックさえ受ける人がいるのは分かっていたが、それがどこから来るのか、ひとつの参考になればと思うからだ。

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睡眠、肉体、魂 [絵画作品紹介]

長い間雨が降った。晴れてきてもそれはやまず、一種異様な光景をつくり出した。雲の切れ間から光が射し、放射状のスポットライトのように山里を照らした。照らされた場所はまるで、祝福を受けた約束の地のように、安心しきった面持ちで輝いていた。暖かい雨に打たれながら、宇宙科学研究所の庭に立って山々を眺めていると、時折、小鳥たちがさえずった。

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宇宙科学研究所にある小さな一人掛けのソファが、僕のベッドだ。研究所に戻ってから、ついさっきまで僕は眠り続けた。その間肉体は硬直して動かず、サキちゃんやサトくんは、僕が死んだのではないかと囁き合っていた。タツオ君が、僕の魂が故郷へ帰っているだけなのだと、二人に説明したらしい。眠りは単に肉体が眠るのであって、魂には睡眠というものはない。むしろ睡眠は魂にとっては解放だ。そして死とは、そのもっと長いものであり、二度と同じ肉体には戻れないというだけの違いがあるだけだ。

タツオ君は一年くらい前だったか、まだマーカバも持っていなかったころ、体外離脱をしたまま戻れなくなってしまったことがあった。いや、正確には体外離脱して過去の自分の肉体に戻ってしまったのである。体を離れた魂は、時間の制約を失う。別の言い方をすると、時間の束縛から自由になるのだとも言える。すると、本人の意思がどうであれ、時間をスライドしていってしまうこともよくあることだ。タツオ君の場合、15歳くらいの、ちょうど頻繁に肉体から離れだした頃の、ちょうどお留守だった自分の体に戻ってしまったのだ。目が覚めてもはじめは気づかなかったという。なぜならそこは自分の暮らしていた部屋で、自分のベッドの上だったからである。だが、しばらくして妙な事に気がついて怖くなったらしい。ベッドの位置が違う、部屋に置いてあるはずのものがない、居間のほうから死んだはずの両親の声が聞こえてくる……。「昔の体に戻ってしまった!」事態に気づいたタツオ君は、戻らなければと焦りだした。「僕がこの体に居すわってしまったら、少年のころの僕の魂はどこへ帰ったらいいのだ?」すると急にひどい眠気が襲って来て、タツオ君はベッドに倒れこんだ。その眠気は尋常ではなく、とても抵抗しきれるものではなかった。タツオ君は眠りに落ちた。それと同時に、もとのタツオ君の肉体に目覚めることができたのだという。

このように、睡眠が魂を解放するのだ。みなさんは、睡眠は心身を休めるためのものだと思っていないだろうか?だが実際には、肉体は文字通り休むが、魂は解放されるため、より活発に飛びまわれるのである。魂が自由を獲得するのだ。これは魂にとって最大の喜びだ。しかし、生きている以上はまた肉体に戻らなければならない。だからこそ、眠りから覚めた時に一種のどうしようもない絶望感が伴うのである。また、肉体の中にあって魂を解放する方法もある。しかし、長くなるからその話はまたの機会にしよう。

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静かに光輝く海2 [絵画作品紹介]

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▲無題

(前回からの続き)

「実はきみはロザリオに会っている。彼はあの晩この家まで来たんだ。」
と僕は言った。タツオ君は心底驚いているにも関わらず、それを顔には表わすまいと、またビールを一口飲んで、言った。
「記憶にないが。また消されたのかな。」
「人聞きの悪い。僕がいつ君の記憶を消したんだ?被害妄想もいいところだ。」
「ならどうやって会ったんだ。本当に全然覚えてないぞ。」
「でも夢を見ただろう?」
「え?」
「夢だよ。」
「夢だって?」
「そうさ。思い出せ。あの晩どこにいる夢を見た?」
タツオ君はしばらく考えていたが、すぐに驚いたように僕を指差して言った。
「海だ!」
「そう。どんな海だった?」
「夜の海だ。僕は陸地に立っている。それで、海は月を反射して輝いている、静かな海だった。そうだ、それだけなんだけど、すごくいい夢だったんだ。」
「そうだ。その海がロザリオなんだ。そしてきみは陸地に立っているのではなく、陸地そのものがきみだ。海なくして陸は存在せず、陸なくして海は存在しない。きみはあの晩、ロザリオとともにいたんだ。」

僕はタツオ君に、ロザリオがめったに、肉体をもって地球に現れたがらないこと、言い方を変えれば、いつ出会ったのかわからないくらい、精妙な存在であることを伝えた。そして、心が研ぎ澄まされるとき、いつでもそばにいるということも。

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タグ: 絵画 地球
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静かに光輝く海 1 [絵画作品紹介]

低気圧の影響なのか、快晴だというのに轟々と音をたてて風が吹き、明るく萌える木々を揺らめかせていた。地球にきて春にこのような天気に出会うのは初めてかもしれない。青空に拡散してゆく雲を見ていると、晩夏に台風が去ったあとのような、一瞬錯覚をおこした。

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▲無題

「ロザリオが来ていたんだな。」
めずらしく包丁などにぎって、料理などしていたタツオ君が、その手を休めたかと思うと、だしぬけにこちらを振り返って聞いてきた。ああ、これは昨夜の僕のブログを読んだな、と思い、
「ああ、来ていたとも。」
とわざと何食わぬ顔をして答えた。
「会ったのか?」
「ああ。あの晩は僕も東京上空まで飛んで、ロザリオの母艦に乗り入れていたんだ。」
タツオ君は少し目を丸くするようにして言った。
「出かけていたとは気付かなかったな。」
「良く眠っていたからな。」
「そうだったかな。」
そう言いつつタツオ君は冷蔵庫に手をかけ、冷えすぎないよう野菜室に入れてあった350ml缶のビールを取り出して、一口飲んだ。
「なぜ会わせてくれなかった?」
「会いたいなんて一言も言ってなかったじゃないか。」

それきり、タツオ君はビールを飲み続けるだけで黙っていた。
風がまたゴオッと鳴り、山の緑が揺れた。

(つづく)

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ロザリオの来訪、変容の波 [絵画作品紹介]

雨がちょっとした寒さを運んできた。今夜は音のうるさい、古いエアコンで少し部屋を暖めている。雨と、また照るだろう太陽と、そして雨と、この繰り返しが山々の緑を濃くしてゆく。

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▲無題

つい先日のことだが、母星の友人、ロザリオがたくさんの使節を率いて地球の、それも東京上空までやって来ていた。彼らしい独自のやり方で、地球波動に変化を与えるため、エネルギーの飛躍的なシフトのため、ある出来事を見守っていた。それと同時にその出来事に彼自身のエネルギーが注ぎ込まれていた。この出来事は多くの人々の知る事件となり、影響を受けた人々の心の中に、変容のための種子が蒔かれた。種子はやがて発芽するだろう。

僕たちは政治に直接働きかけて世界を変えるのが専門ではない。そちらはほとんど、別のエイリアンたちに任せている。それはそれで、米合衆国を中心にして、多大な影響を地球に与えつつある。みなさんがニュースなどで見る世界情勢の変化は、それらのエイリアンたちの存在なくしては起こり得なかったものが多いのだ。僕らはといえば、むしろもっと根本的な部分で、地球人の身体の基本構成を変容させてゆくような試みをしているのだ。そして現代は世代によって全く異なる生物であるかのような、大きな隔たりが生まれている。現代の子供は、数十年後には今とは全く異なる世界を生み出している筈だ。このように、地球人の質そのものが、今までになく大きく変化しつつあることに、皆さんはお気づきだろうか?

政治面でも、地球人類の基本構造の部分でも、これから次々に変化の波が押し寄せてくる。その波に対処する場合、みなさんはその波に乗るのが一番だ。抵抗すればその波はあなたにとって、荒療治となるだろう。しかし荒療治であっても、その後は全く違うあなたが存在するようになるのだが。ともかくできるだけ、波には乗ることをお勧めする。そして波に乗って行き着いた先には、想像も出来ないような世界が広がっていることだろう。

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12の扉、自由とは何か? [絵画作品紹介]

宇宙科学研究所のすぐ近くの山で、フクロウが鳴いている。地球に来る前にイメージしていた声よりも、はるかに低い声で鳴くものだ。それは夜の生き物にふさわしいような、つつましく、思慮深い声だった。

地球人は悩みと苦しみの中にいる。それはだれもが知っている。しかし、それはあながち環境のせいばかりではないことに、気付いているだろうか?苦しみも、そして恐怖も、いったいどこから来るのか、よく観察してみたことが、果たしてあるだろうか…。

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▲無題

人の前には常に12の扉がある。そのうちの一つをくぐれば、また別の世界があり、12の扉が開いている。また一つくぐれば、また12の扉というふうに、何度くぐっても、選択肢は12個ある。僕たちは12の扉のどれをくぐるか自由に決められるが、それを選択したり、迷ったりすることなく、ランダムな意識で決められるほどに、自由度は高くなる。迷うところに判断という名の苦しみがあり、選択するところに、期待と不安がある。期待と不安は表裏一体で、決して片方だけでは存在しえぬ。なぜなら、それらは同じものだからだ。人が12の扉のどれをくぐったかによって、生じる結果に良し悪しはない。ただ、良し悪しを判断する自分があるだけだ。判断とは理解とは無縁のものであり、逆に理解を妨げるものである。理解のないところに愛はない。愛がなければ幸せもまた、ない。

休日の最後の最後になって、やっと宿題のプリントを片づけたサトくんは、今夜はタツオ君のふとんにもぐりこんでいった。そしてもぐりこむなり、もう、小さな寝息をたてはじめた。サトくんも、そしてサキちゃんも計り知れない自由さの中で、のびのびと育っている。タツオ君もマコさんも、まるで水のようにしなやかに、決して子どもたちを束縛することがない。眠る子供たちの意識が、宇宙に向って広く、広く広がって行くのが見える。そう、子供はこの広大な宇宙の中でさえ、巨人とよばれるに足る存在なのだ。

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春の雨 [絵画作品紹介]

春の湿潤な大気が、ほんの少し冷たい雨を運んできた。最近、宇宙科学研究所のまわりで鳴くようになった虫たちも、今夜はこの雨音を聞きながら、じっと何かを考えているかのように、声をひそめている。雨は雨の思い出をよみがえらせる。雨の日はじっとして家の中ににいるものだ。地球に来て、何度こうしてじっと雨音の中に貝のように閉じこもって過ごしたことだろう。雨は小さな水流となり、研究所の脇にある小さな堀に落ち、やがて小川へ流れ込む。小川はやがて一級河川に合流し、大海へ流れ出る。その頃には大海の上空に輝く太陽に照らされ、また大空へと昇ってゆくのかもしれない。こんな水あそびを考えた神は、僕たちの耳や目を通じて、それをゆったりとした面持で楽しんでいる。そして神は、白い髭をはやしたり、柄の曲がって年季の入った杖をもって椅子にもたれかかった老人ではないはずだ。そう、実体のない意思が、不可視の光が、純粋なる喜びが、今日も世界を満たしている。そこかしこに、ほら、見えるだろう?

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▲雨だれの椅子

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次なる進化の過程 [絵画作品紹介]

4月にしては大変暑い日となった。サキちゃんとサトくんは、マコさんの買い物中留守をあずかり、家中の掃除をした。子どもにとってもお手伝いをするのはうれしいらしく、夜になってもサキちゃんはずいぶんときげんがよかった。サトくんはつかれたのか、8時頃から居間で眠ってしまった。

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▲無題


「このごろマーカバに乗れなくなったんだが…。」
研究所の机のまえで足を組んだ姿勢のタツオくんが、ふいにつぶやくように言った。
「基本的には君が体外離脱しない限り、マーカバには乗れない。」
僕はそっけなく答えた。
「体外離脱…、それもできない…、僕の体に何かしたか?」
「いや。」
「そうか…」
タツオ君は不満げに壁にかけた自分の作品を見詰めた。

実際に僕はタツオ君に何もしていない。だが言わなかったことが一つある。それはタツオ君がマーカバに乗れなくなった理由を知っているということだ。地球人のように、転生する星人には必ず指導霊が何体かついている。タツオ君の場合、やはりすぐれた霊が彼を導き、守護しているのだが、中でも最も強力な天使級の霊が、タツオ君の体外離脱を止めているのだ。マーカバに乗ろうと乗るまいと、体外離脱して赴く世界は、いかに酷似していようとも、その世界そのものではない。うすい層を隔てた形で垣間見ているだけなのだ。だから当の世界のほうでは、タツオ君が訪れたとしても、その気配は感じるかもしれないが、実際には何の影響も受けない。実際に世界とコミュニケートするまでになるには、ちょうど僕の体がそうであるように、肉体波動が光と同レベルにならないといけないのだ。地球ではこれをライトボデイと呼ぶ人たちがいる。タツオくんは、少年時代から霊眼が発達し、目を閉じていても外界が見える上、何の訓練もせずに、かなりの自由度で肉体を出たり入ったり、あるいは意識体のまま壁をぬけたり、空を飛んだり、高速で移動したりできた。これらは霊的な次なる次元へのスタートラインにすでに立っていることを意味している。だからこそ僕とロザリオは彼にマーカバを埋め込んだのだ。しかし、タツオ君ももうマーカバ遊びをしている段階でもないと、彼の指導霊は考えている。マーカバ遊びも、慣れてくると、TVを見るようなもので、慢性化し、傍観者の立場に甘んじてしまうようになる。というわけで、今回僕らはマーカバをタツオ君から取り上げもしなかったし、体を操作したりもしていないが、タツオくんの次なるステップのために、新たな訓練が開始されたので、あえて指導霊である天使に任せているというわけだ。

現にタツオ君は、考え込んでいるよりも行動していることのほうが多くなった。今までは瞑想状態でじっと動かなくなることが多かったが、今はひっきりなしに何かをしていて、夜になるとスイッチが切れたみたいに眠ってしまう。それでいいのだ。そうやって献身的に働くことで、進化の邪魔になる自我が消滅してゆく。すべての自我が消えてしまうと、より大きな自我と接続して、全く桁違いの大きな仕事を成せるようになる。

今日も、夜が山里を飲み込んでしまった。小さな虫の声が聞こえる。黒くうごめくものをよくみると、テラスを人差指ほどの長さのムカデが、身をくねらせて這っているのだった。

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