So-net無料ブログ作成

静かに光輝く海2 [絵画作品紹介]

027.JPG
▲無題

(前回からの続き)

「実はきみはロザリオに会っている。彼はあの晩この家まで来たんだ。」
と僕は言った。タツオ君は心底驚いているにも関わらず、それを顔には表わすまいと、またビールを一口飲んで、言った。
「記憶にないが。また消されたのかな。」
「人聞きの悪い。僕がいつ君の記憶を消したんだ?被害妄想もいいところだ。」
「ならどうやって会ったんだ。本当に全然覚えてないぞ。」
「でも夢を見ただろう?」
「え?」
「夢だよ。」
「夢だって?」
「そうさ。思い出せ。あの晩どこにいる夢を見た?」
タツオ君はしばらく考えていたが、すぐに驚いたように僕を指差して言った。
「海だ!」
「そう。どんな海だった?」
「夜の海だ。僕は陸地に立っている。それで、海は月を反射して輝いている、静かな海だった。そうだ、それだけなんだけど、すごくいい夢だったんだ。」
「そうだ。その海がロザリオなんだ。そしてきみは陸地に立っているのではなく、陸地そのものがきみだ。海なくして陸は存在せず、陸なくして海は存在しない。きみはあの晩、ロザリオとともにいたんだ。」

僕はタツオ君に、ロザリオがめったに、肉体をもって地球に現れたがらないこと、言い方を変えれば、いつ出会ったのかわからないくらい、精妙な存在であることを伝えた。そして、心が研ぎ澄まされるとき、いつでもそばにいるということも。

人気ブログランキングへ


タグ: 絵画 地球
nice!(13)  コメント(4) 
共通テーマ:アート

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。

×

この広告は1年以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。