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静かに光輝く海2 [絵画作品紹介]

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▲無題

(前回からの続き)

「実はきみはロザリオに会っている。彼はあの晩この家まで来たんだ。」
と僕は言った。タツオ君は心底驚いているにも関わらず、それを顔には表わすまいと、またビールを一口飲んで、言った。
「記憶にないが。また消されたのかな。」
「人聞きの悪い。僕がいつ君の記憶を消したんだ?被害妄想もいいところだ。」
「ならどうやって会ったんだ。本当に全然覚えてないぞ。」
「でも夢を見ただろう?」
「え?」
「夢だよ。」
「夢だって?」
「そうさ。思い出せ。あの晩どこにいる夢を見た?」
タツオ君はしばらく考えていたが、すぐに驚いたように僕を指差して言った。
「海だ!」
「そう。どんな海だった?」
「夜の海だ。僕は陸地に立っている。それで、海は月を反射して輝いている、静かな海だった。そうだ、それだけなんだけど、すごくいい夢だったんだ。」
「そうだ。その海がロザリオなんだ。そしてきみは陸地に立っているのではなく、陸地そのものがきみだ。海なくして陸は存在せず、陸なくして海は存在しない。きみはあの晩、ロザリオとともにいたんだ。」

僕はタツオ君に、ロザリオがめったに、肉体をもって地球に現れたがらないこと、言い方を変えれば、いつ出会ったのかわからないくらい、精妙な存在であることを伝えた。そして、心が研ぎ澄まされるとき、いつでもそばにいるということも。

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タグ: 絵画 地球
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静かに光輝く海 1 [絵画作品紹介]

低気圧の影響なのか、快晴だというのに轟々と音をたてて風が吹き、明るく萌える木々を揺らめかせていた。地球にきて春にこのような天気に出会うのは初めてかもしれない。青空に拡散してゆく雲を見ていると、晩夏に台風が去ったあとのような、一瞬錯覚をおこした。

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▲無題

「ロザリオが来ていたんだな。」
めずらしく包丁などにぎって、料理などしていたタツオ君が、その手を休めたかと思うと、だしぬけにこちらを振り返って聞いてきた。ああ、これは昨夜の僕のブログを読んだな、と思い、
「ああ、来ていたとも。」
とわざと何食わぬ顔をして答えた。
「会ったのか?」
「ああ。あの晩は僕も東京上空まで飛んで、ロザリオの母艦に乗り入れていたんだ。」
タツオ君は少し目を丸くするようにして言った。
「出かけていたとは気付かなかったな。」
「良く眠っていたからな。」
「そうだったかな。」
そう言いつつタツオ君は冷蔵庫に手をかけ、冷えすぎないよう野菜室に入れてあった350ml缶のビールを取り出して、一口飲んだ。
「なぜ会わせてくれなかった?」
「会いたいなんて一言も言ってなかったじゃないか。」

それきり、タツオ君はビールを飲み続けるだけで黙っていた。
風がまたゴオッと鳴り、山の緑が揺れた。

(つづく)

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ロザリオの来訪、変容の波 [絵画作品紹介]

雨がちょっとした寒さを運んできた。今夜は音のうるさい、古いエアコンで少し部屋を暖めている。雨と、また照るだろう太陽と、そして雨と、この繰り返しが山々の緑を濃くしてゆく。

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▲無題

つい先日のことだが、母星の友人、ロザリオがたくさんの使節を率いて地球の、それも東京上空までやって来ていた。彼らしい独自のやり方で、地球波動に変化を与えるため、エネルギーの飛躍的なシフトのため、ある出来事を見守っていた。それと同時にその出来事に彼自身のエネルギーが注ぎ込まれていた。この出来事は多くの人々の知る事件となり、影響を受けた人々の心の中に、変容のための種子が蒔かれた。種子はやがて発芽するだろう。

僕たちは政治に直接働きかけて世界を変えるのが専門ではない。そちらはほとんど、別のエイリアンたちに任せている。それはそれで、米合衆国を中心にして、多大な影響を地球に与えつつある。みなさんがニュースなどで見る世界情勢の変化は、それらのエイリアンたちの存在なくしては起こり得なかったものが多いのだ。僕らはといえば、むしろもっと根本的な部分で、地球人の身体の基本構成を変容させてゆくような試みをしているのだ。そして現代は世代によって全く異なる生物であるかのような、大きな隔たりが生まれている。現代の子供は、数十年後には今とは全く異なる世界を生み出している筈だ。このように、地球人の質そのものが、今までになく大きく変化しつつあることに、皆さんはお気づきだろうか?

政治面でも、地球人類の基本構造の部分でも、これから次々に変化の波が押し寄せてくる。その波に対処する場合、みなさんはその波に乗るのが一番だ。抵抗すればその波はあなたにとって、荒療治となるだろう。しかし荒療治であっても、その後は全く違うあなたが存在するようになるのだが。ともかくできるだけ、波には乗ることをお勧めする。そして波に乗って行き着いた先には、想像も出来ないような世界が広がっていることだろう。

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12の扉、自由とは何か? [絵画作品紹介]

宇宙科学研究所のすぐ近くの山で、フクロウが鳴いている。地球に来る前にイメージしていた声よりも、はるかに低い声で鳴くものだ。それは夜の生き物にふさわしいような、つつましく、思慮深い声だった。

地球人は悩みと苦しみの中にいる。それはだれもが知っている。しかし、それはあながち環境のせいばかりではないことに、気付いているだろうか?苦しみも、そして恐怖も、いったいどこから来るのか、よく観察してみたことが、果たしてあるだろうか…。

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▲無題

人の前には常に12の扉がある。そのうちの一つをくぐれば、また別の世界があり、12の扉が開いている。また一つくぐれば、また12の扉というふうに、何度くぐっても、選択肢は12個ある。僕たちは12の扉のどれをくぐるか自由に決められるが、それを選択したり、迷ったりすることなく、ランダムな意識で決められるほどに、自由度は高くなる。迷うところに判断という名の苦しみがあり、選択するところに、期待と不安がある。期待と不安は表裏一体で、決して片方だけでは存在しえぬ。なぜなら、それらは同じものだからだ。人が12の扉のどれをくぐったかによって、生じる結果に良し悪しはない。ただ、良し悪しを判断する自分があるだけだ。判断とは理解とは無縁のものであり、逆に理解を妨げるものである。理解のないところに愛はない。愛がなければ幸せもまた、ない。

休日の最後の最後になって、やっと宿題のプリントを片づけたサトくんは、今夜はタツオ君のふとんにもぐりこんでいった。そしてもぐりこむなり、もう、小さな寝息をたてはじめた。サトくんも、そしてサキちゃんも計り知れない自由さの中で、のびのびと育っている。タツオ君もマコさんも、まるで水のようにしなやかに、決して子どもたちを束縛することがない。眠る子供たちの意識が、宇宙に向って広く、広く広がって行くのが見える。そう、子供はこの広大な宇宙の中でさえ、巨人とよばれるに足る存在なのだ。

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春の集い [音楽]

ここのところ、天気はぐずついたが、今日はカラリと晴れて、心地よく過ごしやすい日となった。タツオ君はお母さんの七回忌を主催した。菩提寺はタツオ君の家のすぐ裏手のほうの、ゆるやかな坂をのぼったところにある。先代の住職が存命中だった子どものころから、本堂で遊んだりして、慣れ親しんだお寺を借りての法要だ。若くして両親を亡くし、施主を繰り返したタツオ君は、こうした仏事の段取りは手慣れたものだったが、それだけに今日の法要と供養の流れを丁寧に扱い、感慨深げに成り行きを見つめていたようだった。お寺の庭先にタンポポが絨毯のように咲き乱れている場所があり、僕はそこに寝そべって、般若心経が詠まれるのを聞いた。一定のリズムの中に、短い言葉で簡潔に、宇宙の秘密が解き明かされてゆくのを聞いていると、ロザリオとふたりで、広大な故郷の大地に立っているような気がした。正午前の陽の光に照らされた草花の発する、青い香りをかいで、僕は少し眠った。


タツオ君のお母さんのご冥福を、心よりお祈りいたします。

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春の雨 [絵画作品紹介]

春の湿潤な大気が、ほんの少し冷たい雨を運んできた。最近、宇宙科学研究所のまわりで鳴くようになった虫たちも、今夜はこの雨音を聞きながら、じっと何かを考えているかのように、声をひそめている。雨は雨の思い出をよみがえらせる。雨の日はじっとして家の中ににいるものだ。地球に来て、何度こうしてじっと雨音の中に貝のように閉じこもって過ごしたことだろう。雨は小さな水流となり、研究所の脇にある小さな堀に落ち、やがて小川へ流れ込む。小川はやがて一級河川に合流し、大海へ流れ出る。その頃には大海の上空に輝く太陽に照らされ、また大空へと昇ってゆくのかもしれない。こんな水あそびを考えた神は、僕たちの耳や目を通じて、それをゆったりとした面持で楽しんでいる。そして神は、白い髭をはやしたり、柄の曲がって年季の入った杖をもって椅子にもたれかかった老人ではないはずだ。そう、実体のない意思が、不可視の光が、純粋なる喜びが、今日も世界を満たしている。そこかしこに、ほら、見えるだろう?

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▲雨だれの椅子

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「マスターキー」、ロザリオからのメッセージ [宇宙のこと]

夜も更けて、楽しかった日曜日が終わろうとしている。サキちゃんは入浴をすませ、パジャマを着て、ランドセルに明日の授業に使う教科書を詰め込んだ。サトくんはマコさんの膝の上に上ったり下りたりしながら、歌を歌い、思いきり甘えていた。タツオ君は何か分厚い本を読んでいた。誰も見ていないTVが、居間の隅で明るく画面をちらつかせていた。

この家族の始まりから終わりまでを、僕はすべて知っている。そしてこの平凡な一夜さえ、幾千の夜の中で、たった一つしか存在しない夜なのだということも。



一日一日はすべて、あなたにとって宝石よりも貴重な、無二の瞬間の集積だ。あなたは毎日を生きるだけで、宇宙に財宝を積み上げているのだ。それはだれの人生でも同じこと、ただ、あなたが、あなたの財宝に気づくか、気付かないかの違いだけなのだ。


ロザリオからの新着メッセージ

地球の皆さん、こんにちは。
心を静めてください。ともに手を取り合いましょう。目を閉じてください。あなた=宇宙なのです。何も心配することはないのです。すべては創造主の御心のままに存在しています。過去・現在・未来という時間軸の概念にとらわれすぎないようにしましょう。あなたが見ているのは、すべて起こってしまったこと、すなわち結果なのです。それらはすでに存在していた出来事です。なぜ存在しない未来を恐れ、もともと存在していた過去を後悔するのですか?そしてなぜ、唯一あなたが体験できる現在を生きないのでしょうか?すべては今ここにあるものの集積です。そして常に12の扉があなたの前に開かれています。そしてどの扉の向こうにも、また12の扉があります。あなたはただ好きな扉をくぐればよいのです。そして扉は現在(いま)に焦点を合わせないと顕れません。あなたが常に現在に焦点をあわせ、扉を通過し続ける時、ものすごい速さであなたの見る世界は変化してゆきます。それほどにこの、あなたにとって堅固に見える現実世界は、実は柔軟な構造を持っているのです。あなたは一つの宇宙、一つの星系に閉じ込められているように感じているでしょうが、実は全くそうではないのです。瞬間、瞬間ごとにあなたは別の宇宙へ移動しているのです。別の宇宙へやってきたのに、あなた自身がそれに気づかないがために、世界がいつまでも同じように見えるのです。どうかこのことを理解してください。このメッセージはどの12の扉をも開くことのできるマスターキーです。私は遠い星からメッセージを送っているでしょうか?それともあなたのすぐそばにいるのでしょうか?答えはその両方です。実は、私の友人(地球では黒猫の姿をして、ピーチと呼ばれていますね)はまだ言及していないようですが、時間とともに、距離もまた「実在しません」。
今日はとても重要な情報を送りました。次はいつになるか予告することはできません。
どうか、この情報の種子が、あなたのなかで実を結びますように。

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黒猫の怪談 [音楽]

昨日とは違う、涼しい朝だ。薄い雲が時々太陽の光をさえぎる。
マコさんと子供たちは、居間でゆっくりした朝食をとっていた。穏やかな休日だ。



タツオ君が地区の道路愛護作業(この辺りでは道普請「みちぶしん」という)から帰って来くるなり言った。
「ピーチ、おまえそろそろやばくないか?」
「何の事?」
何の事だか本当にわからなかったので、真面目に聞いてみた。
「最近おまえみたいな黒猫が何匹もいるって、近所の人がみんな言ってたぞ。星(くに)の友達を呼んで花見でもしたんじゃないだろうな。」
「何匹も?」
「何匹も、だ。」
黒猫は僕のほかにこの辺りにはいない。故郷の仲間が来たとしても、わざわざ黒猫のいでたちで来るはずもない。思い当たるふしがなかった。考え込んでいると、タツオ君が真顔でこちらに流し目をおくりながら続けた。
「お前まさか、地球の猫と子供をつくったんじゃ…」
「怒るぞ。」
集中して考えようとしているところへ、くだらない突っ込みをいれるので本当にイラッと来て僕は言った。
「僕と猫とで、どれくらいの種の隔たりがあると思っているんだ。地球の猫が100万回生まれ変わったとしても僕にはなれないよ。それに…」
そう言いながら、ふと思いつくことがあった。もしかすると…。間違いない。
「わかった。こういうわけだ…、つまり、それは全部…、僕だ。」
そう言って、僕はタツオ君に理解が行くように、次のような内容の説明を試みた。

古い記事をご覧になった方は、僕が「時間というものは実在しない」と書いたのを記憶しておられるかもしれない。個々の瞬間はあくまでも、3次元的座標で示すことのできない「場所」なのだと。僕らは多くの地球人が体験している3から4次元から、さらに理解が深まった段階である、5から6次元を日常的に体験している。だから、地球人の見る世界と、僕らの見る世界とでは全く異なるのだ。こういう次元の異なる世界観を説明するほど難しいことはないのだが、あえて言うならば、僕たちには地球世界のすべては「静止して」見える。そして僕が世界を観察する時、例えて言うならば、ゆっくりと「時間」をかけて、ものごとをさまざまな角度から「同時に」見ることができる。それが地球人には瞬間の出来事だったとしても…。
つまるところ、ご近所の人たちは、最近ぼくがあちこちで「同時に」自然観察をしていたのを見たのだ。僕にとっては別々に観察しているつもりでも、彼の人たちにとってそれは、同時刻に、同じような黒猫がそこかしこに出没している、としか見えないというわけだ。どうしても、地球の言語でこの事象を説明するのは難しいが、できるだけ簡単に言ってそういうことなのだ。うっかりしていた。やはり地球的独自性には慣れ切らない部分がある。
それは地球の皆さんに、全く異なる生物の目で、例えばトンボの複眼を通じて世界を見てみろというのと同じことなのだ。

以上の説明にタツオ君は納得していた。そして言った。
「君たちの住んでる世界の広さには、全く度肝を抜かれるよ。どれだけ数学を勉強したらそこまで行けるんだ?」
「概念的な捉え方では、ここまで来ることはできない。マーカバでも無理だ。あれはあくまでも概念形成の道具に過ぎないしね。」
「やはり、それは『進化』なのか。」
「まあ、そういう気の遠くなるような言い方もできるがね。ある種の、積極的なアプローチなしの『理解』が自然に訪れる時、その時には、君もすでに変わっている筈だ。それまでは想像しよう試みることすら無駄だ。」

タツオ君は首を左右に振って、母屋の中に入っていった。
そして、この家で一番遅い朝食をとった。

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次なる進化の過程 [絵画作品紹介]

4月にしては大変暑い日となった。サキちゃんとサトくんは、マコさんの買い物中留守をあずかり、家中の掃除をした。子どもにとってもお手伝いをするのはうれしいらしく、夜になってもサキちゃんはずいぶんときげんがよかった。サトくんはつかれたのか、8時頃から居間で眠ってしまった。

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▲無題


「このごろマーカバに乗れなくなったんだが…。」
研究所の机のまえで足を組んだ姿勢のタツオくんが、ふいにつぶやくように言った。
「基本的には君が体外離脱しない限り、マーカバには乗れない。」
僕はそっけなく答えた。
「体外離脱…、それもできない…、僕の体に何かしたか?」
「いや。」
「そうか…」
タツオ君は不満げに壁にかけた自分の作品を見詰めた。

実際に僕はタツオ君に何もしていない。だが言わなかったことが一つある。それはタツオ君がマーカバに乗れなくなった理由を知っているということだ。地球人のように、転生する星人には必ず指導霊が何体かついている。タツオ君の場合、やはりすぐれた霊が彼を導き、守護しているのだが、中でも最も強力な天使級の霊が、タツオ君の体外離脱を止めているのだ。マーカバに乗ろうと乗るまいと、体外離脱して赴く世界は、いかに酷似していようとも、その世界そのものではない。うすい層を隔てた形で垣間見ているだけなのだ。だから当の世界のほうでは、タツオ君が訪れたとしても、その気配は感じるかもしれないが、実際には何の影響も受けない。実際に世界とコミュニケートするまでになるには、ちょうど僕の体がそうであるように、肉体波動が光と同レベルにならないといけないのだ。地球ではこれをライトボデイと呼ぶ人たちがいる。タツオくんは、少年時代から霊眼が発達し、目を閉じていても外界が見える上、何の訓練もせずに、かなりの自由度で肉体を出たり入ったり、あるいは意識体のまま壁をぬけたり、空を飛んだり、高速で移動したりできた。これらは霊的な次なる次元へのスタートラインにすでに立っていることを意味している。だからこそ僕とロザリオは彼にマーカバを埋め込んだのだ。しかし、タツオ君ももうマーカバ遊びをしている段階でもないと、彼の指導霊は考えている。マーカバ遊びも、慣れてくると、TVを見るようなもので、慢性化し、傍観者の立場に甘んじてしまうようになる。というわけで、今回僕らはマーカバをタツオ君から取り上げもしなかったし、体を操作したりもしていないが、タツオくんの次なるステップのために、新たな訓練が開始されたので、あえて指導霊である天使に任せているというわけだ。

現にタツオ君は、考え込んでいるよりも行動していることのほうが多くなった。今までは瞑想状態でじっと動かなくなることが多かったが、今はひっきりなしに何かをしていて、夜になるとスイッチが切れたみたいに眠ってしまう。それでいいのだ。そうやって献身的に働くことで、進化の邪魔になる自我が消滅してゆく。すべての自我が消えてしまうと、より大きな自我と接続して、全く桁違いの大きな仕事を成せるようになる。

今日も、夜が山里を飲み込んでしまった。小さな虫の声が聞こえる。黒くうごめくものをよくみると、テラスを人差指ほどの長さのムカデが、身をくねらせて這っているのだった。

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霊眼、知恵、愛 [絵画作品紹介]

月の照る夜だった。だが、天気はこれから崩れそうな予兆があった。

子どもたちは今日からまた学校へ出かけて行った。サキちゃんは今日から最上級生である6年生、サトくんは最下級生ではない2年生となった。ずっといままで学校中で一番小さな男の子だったサトくんよりも、もっと小さな1年生は入学してきただろうか?明日サトくんに聞いてみたい。ちいさな山里のちいさな小学校では、全校生徒あわせても、普通の1学年分くらいしかいない。でも優しく性質の良い子ばかりが集まって、毎日を過ごしている。タツオくんも同じ学校で子供時代を過ごし、今ある基本的な人格を培った。そんな環境の中で、この二人の姉弟はのびのびと、そして健やかに育っている。どこの星へ行っても、子供というのは美しい。腐敗がここまで進んだ世界のただ中にあって、なぜかくも美しくいられるのだろうか…。

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▲ハート

美しさは最高度のエネルギーでもある。そして自体莫大な情報だ。人は美を通じて実に多くを学ぶ。それは多くの場合言葉ではない。情報は、イコール言語というわけではない。あらゆる存在物のなかに情報はある。心を開いて、観察してみてほしい。植物や、動物、星空、建物、道、石ころ、風の音、すべてにあなたの目から隠された情報が刻まれている。それを看破するのが霊眼、読み解く力が知恵、実践することを愛と呼ぶ。

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